”コレが我が家に!?” 土地売却時に注意する地中埋設物とは

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土地売却時に注意する地中埋設物とは


土地売却を考えている方々にとって、地中埋設物は予期せぬ障害となることがあります。


  1. このブログ記事の趣旨
  2. 地中埋設物とはその字の通り、「地中に埋まっている物」のことです。土地の広さや陽当たりのように目に見えるものではないため、引渡し後にトラブルに発展するケースがあります。
    地中埋設物の調査方法から、問題発生時の解決方法まで焦点を当て、土地売却を成功に導くためのポイントをご説明させていただきます。


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地中埋設物調査とは?


地中埋設物とは、既存建物の基礎部分やコンクリート片、屋根瓦などの建築資材(いわゆるガラ)、古い水道管、浄化槽、井戸など、地中に埋まっている廃棄物などを指します。産業廃棄物に対する規制がそれほど厳しくなかった時代には、建物を解体する際に発生した屋根瓦やコンクリート片をそのまま地中に埋め戻すことが珍しくありませんでした。しかし地中埋設物は不要物と化しているにもかかわらず、地中に埋まったままの状態であるため、買主様が新しく建物を建てようとするときに基礎工事の阻害要因となる場合があります。
土の中に人為的に埋められたものがあるか・ないかを調査し住宅が適切に建築できることを念頭に0.8m~2mくらいの深さで調査をします。調査の目的によって調査の深さが変わります。例えば「3mくらいまで廃棄物を埋めた」「4mくらい下に昔の建築物基礎が残っているかもしれない」などの場合は、懸念される深さまで調査をします。事前に土地について情報収集しておくと、スムーズに調査を行うことができます。過去の調査では2mくらいの深さから埋設物(コンクリートや基礎)が出てきたことがあります。
そうした場合、売主様に瑕疵担保責任(契約不適合責任)が生じるケースも少なくありません。

※2020年4月1日から施行された民法では「瑕疵担保責任」という概念が廃止され、『契約不適合責任』に変わりました

埋設物をタイプ別に分類

◆建設廃材


地下にコンクリートや鉄骨、瓦屋根といった建築廃材が、そのまま埋設されている可能性があります。いったい、なぜこのようなものが埋設されているのでしょうか。これは恐らく、昔の解体業者が杜撰な工事を行ったことが原因でしょう。過去には解体によって出た廃材の処理費用を抑えるため、地下に埋めて処分する悪徳業者も存在していました。
穴を掘って地中深くに建築廃材を埋めて土をかぶせて重機で圧力をかけてしまえば、地中に廃材が埋まっていることは誰にもわかりません。このような埋設物は新しく家を建てる際、基礎工事の障害になります。売却した後に埋設物が見つかり、売主に瑕疵担保責任(※)が求められるケースも少なくありません。

※2020年4月1日から施行された民法では「瑕疵担保責任」という概念が廃止され、『契約不適合責任』に変わりました

◆古い井戸や土管、浄化槽など


埋設物の中には、古い井戸や土管、浄化槽といったものもあります。これらはもともと地下に埋設しているものなので、解体業者が悪意で建築廃材を埋設したケースとは異なるもの。浄化槽はほとんどの場合解体工事で撤去されますが、そのまま埋まっているケースも少なくありません。
古井戸がそのまま地下に埋設していることもよくあります。井戸の場合はすべて掘り出して撤去するのは難しいので、埋め戻す工事を行うことになるでしょう。そのまま放置しておくと地盤沈下の原因、場合によっては子どもの転落事故につながるので、必ず埋め戻す工事が必要です。しかし、井戸を埋めるには専門的な知識が必要で、ただ単に埋めればよいというものではありません。井戸を埋め戻す専門業者に依頼が必要です。

浄化槽も、残っていれば撤去しなくてはいけません。浄化槽は地中に埋没しているので、重機などで掘り起こして撤去します。撤去費用は大きさにもよりますが、およそ5~15万円ほどです。

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地中埋設物が瑕疵担保責任(契約不適合責任)に問われる場合とは

地中埋設物の存在を知っていながらその事実を告げずに土地を売却した場合、売主様に「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」が問われます。瑕疵とは欠陥や不具合のことで、不動産取引においては「見ただけでは発見することが難しい欠陥や不具合」を指します。
瑕疵担保責任(契約不適合責任)を問われると、買主様から地中埋設物の撤去費用を請求される可能性も否めません。また、説明義務違反により損害賠償を請求されるケースもありますので、注意が必要です。
売主様が宅建業者で買主様が宅建業者以外の場合、民法の原則では「瑕疵があるという事実を知った日から1年以内」の瑕疵担保責任(契約不適合責任)を負うことになりますが、売主様にとってあまりに不利となるため、宅建業法では「物件の引き渡し後2年以上」を最低条件に、瑕疵担保責任(契約不適合責任)の期限を設定する特約が認められています。

なお、2020年4月1日から施行された民法では「瑕疵担保責任」という概念が廃止され、「契約不適合責任」に変わりました。契約不適合責任においては、売主様が契約と違うものを売れば契約不適合とみなされ、売主様の責任が重くなりますので注意が必要です。

地中埋設物の調査方法

地中埋設物があるかどうかわからない場合、まずはその土地に建てられていた建物の図面や資料などをチェックするのが一般的です。「どの位置にどのような建物が建てられていたか」を確認することで、地中埋設物の有無を推測します。
たとえば、建てられていた建物が平屋の建物であれば浄化槽が残っている可能性があり、マンションやビル、クリーニング工場、ガソリンスタンドなどが建っていた場合は、地中に何らかの建築物等が埋まっているリスクを考慮しなければなりません。
また、図面や資料による机上調査以外の地中埋設物の調査方法として、「物理探査・非破壊工法」が挙げられます。代表的なものとしては、電磁波を利用した地中レーダー探査があります。その他にも、ユンボやボーリング調査が挙げられますが、売主様が個人の場合これらは一般的ではありません。

埋設物はないほうがいいのに、水道管だけは必要?


水道管が通っている場所によって、土地の値段が変わるとまでいわれています。水道は人が生きるうえでなくてはならないライフラインのため、これから家を建てるなら、確実に必要となるもの。水道の引き込み管が土地のどの部分に埋設されているのか、耐久性や素材などを詳しく調査しておきましょう。
水道管の工事は、一般的に売主が負担することになっています。そのため、水道管がもとから通っていると大幅な費用の削減になるでしょう。もし水道管が通っていない場合は、水道工事の代金を土地価格から差し引く必要があります。
水道管の問題でかなり深刻なケースとして、隣の敷地を通っているということが挙げられます。水道管は原則として前面道路に沿って埋設されており、そこから各住戸へ引き込むようになっているものです。しかし、過去に大きな工場があった地域や昔から路地が入り組んでいる街区では、たまに他人の土地や自分の土地の下を水道管が通っているケースがあります。
他人の土地に水道管が通っている場合は、ボーリング調査中や建設工事中の破損リスクが想定できます。改めて前面通路側へ水道管を移設するとなると、多額の工事代金が発生するでしょう。土地を売却する際には値下げ要因になりかねないので、しっかり調査するようにしてください。
水道管が古いタイプの場合は健康への影響なども考えられるため、売却する際に支障をきたす恐れがあります。そのため、老朽化している場合は取り換え工事が必要です。また、長い間放置している土地では水道の引き込み管がないことがあるので、しっかり調査しましょう。

水道局に問い合わせて水道管の状況を調べる

水道管の状況を確認するためには、水道局へ問い合わせて調べる方法があります。水道局には管轄するエリアの給水装置図面があり、問い合わせる際のポイントは以下の4点です。

◆給水管が鉛の場合

現在の水道管は、ステンレス製や塩化ビニール製がほとんどです。鉛管は昭和50年代まで全国で使用されていて現在も残っているエリアがあります。鉛管は身体に悪いというイメージがありますが、意外に内側を酸化膜が覆うため健康被害は少ないといわれているのです。しかし、破損しやすく漏水が起きやすいという欠点があります。健康面の被害が少ないとはいえ、イメージが良くないので土地の値段にも影響するでしょう。
老朽化していることが多いので、耐震面でも取り換え工事が必要です。

◆他人の土地を通っている

水道管は原則、前面道路に沿って配管し埋設しており、前面道路から各住戸へ引き込むのが一般的です。しかし、古くからある住宅の密集地には、前面道路がないケースが少なくありません。そうした場合、水道管の埋設を敷地の地下に行っていることがあります。漏水事故が起きたら隣人トラブルになりやすく、水圧も不安定。こうしたケースでは、土地の売却も不利になりがちです。

◆引き込み管がない

長い間空き地として放置されていた土地には、水道の引き込み管自体がないということも見受けられます。家を建てる際には改めて引き込み口を設置する工事が必要になるので、土地代金から相殺する必要が出てくるでしょう。

◆口径が13mm

水道管の口径には13mm・20mm・25mmの3タイプがあり、13mmの水道管はもっとも古いタイプです。13mmの水道管は水圧が低く、今の洗濯機に適用していないことがあります。そのため、20mmへの取り換え工事が望ましいでしょう。
以上は、管轄の水道局に問い合わせて調べられる情報です。売却予定の土地はどのような水道環境が整っているのか、あらかじめ確認しておきましょう。水道工事が必要な場合、何割かの自治体の補助はあるものの、基本的には売主が工事代金を負担することになっています。設置の工事を行わずに売却する場合は、工事代金を差し引いた価格設定で契約することになるでしょう。

地中埋設物でも基礎杭などは問題ないケースもある


建物の建築に影響がないなど「買主様に特段の不利益を与えない」とされる場合は、「地中埋設物があっても瑕疵に当たらない」と法的に判断されるケースがあります。具体的には、地中の基礎杭や下水管などがそれに該当します。
しかし、いずれにしても売買契約を締結する際には、これまでの土地の利用状況や地中埋設物の有無などについてすべて説明する義務がありますので「不利益に当たらないだろう」と勝手に判断することは避けましょう。地中埋設物が見つかった場合の対応や負担責任をしっかりと取り決め、売買契約書に明記しておくことが大切です。

地中埋設物がある土地を売る方法は?


地中に埋設物がある可能性が考えられるのであれば、しっかり調査を行うことや、完全に撤去することが求められます。また、撤去した情報を買主へしっかり開示することも大切なことです。買主が求めているのは土地の情報と売主の誠意。買主と売主との互いの信頼関係が、土地の売買を成功させます。正直に情報を開示することは、土地の価値を高めることにも繋がるでしょう。つまり、土地のマイナス面がプラスになるのです。
埋設物があって撤去した場合は、埋設物が他にもあるかもしれないという前提で瑕疵をしっかり申告しておく必要があります。また、瑕疵担保責任の項目に、特約として細かく条件を記載しておくことも重要です。
売却後の工事でコンクリートの塊が何度も出てきてそのたびに瑕疵担保責任を負わされ、莫大な賠償額を支払ったという事例があります。これは瑕疵担保責任の拡大解釈ですが、実はこのように買主が法外な価格を売主に請求する事例は少なくありません。そのようなことがないように、事前にしっかり埋設物の調査を行い、埋設物がある場合は完全に撤去するなどの対策が必要です。完全に撤去していれば売後の瑕疵担保責任におびえる必要がなくなります。そのうえで瑕疵をしっかり申告し、買主の理解を得るようにしてください。

瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更になったことで、「隠れた瑕疵」があるかどうかではなく、契約時に伝えていた内容と違う場合に買主は損害賠償等を請求できるという規定になりました。
契約不適合責任について、詳しくは法務省の説明資料をご確認ください。

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まとめ


「昔はどんな土地だったか?」「埋立はしてないか?」など地歴を確認した上で調査を行います。そのため、売主や買主が知っている土地情報があれば教えてもらえると参考にすることができますので正確に調査できます。また土地を売却する際には、地中埋設物の可能性について不動産仲介会社に事前に説明しておくことでトラブルに発展するリスクを軽減することができます。これまで解説してきたように、売却後に地中埋設物が見つかれば、瑕疵担保責任(契約不適合責任)を問われ損害賠償を請求されるケースもあります。このようなリスクを避けるために、これまでに何が建っていたかを調べる地歴調査を行うなど事前の対策を検討しておくと良いでしょう。また、このような対応を積極的に行ってくれる信頼のおける不動産仲介会社を選ぶことも重要です。


不動産の取引には非常に複雑な知識や経験が必要になります。いい不動産会社と出会うことができれば、面倒な手続きも代行してくれて適切なアドバイスをしてくれます。
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