”購入前に知って安心” ホームインスペクションとは

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ホームインスペクションとは


住宅の売買・建築・リノベーション・相談などに際して利用するホームインスペクションが普及しました。とはいえ、まだまだ始めて利用するという人の方が多いこともあり、分からない事も多いものです。

  1. このブログ記事の趣旨
  2. ホームインスペクションを依頼する前に知っておきたい基礎知識として、ホームインスペクション(=住宅診断)とは何か、利用するときの依頼目的や対象物件、調査内容・指摘事例・費用、メリット・デメリット、必要書類、所要時間、調査報告書、依頼の流れや注意点、よくある質問と回答をご説明いたします。


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ホームインスペクション(住宅診断)とは

ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場からまた専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行う専門業務です。
建物の専門性が高いことから、ホームインスペクションを実施する人(=ホームインスペクター)は、建築士であることが一般的です。主に住宅の売買や建築のときに利用されますが、リフォーム時やメンテナンスの参考にすることや定期点検に利用されることもあります。
米国では、州によって異なりますが、取引全体の70~90%の割合でホームインスペクションが行われ、すでに常識となっています。
日本でも2000年頃にホームインスペクションが形作られ、新築住宅と中古住宅それぞれの流通において活用され始めており、一戸建て・マンション・賃貸アパート・店舗など幅広い建物種別で使われています。

ホームインスペクションを依頼する目的とは

ホームインスペクションを依頼する人の目的は、主に以下の4点です。
  1. ◆住宅購入時の判断材料にするため
  2. ◆住宅を売却するときの情報開示や販売促進のため
  3. ◆新築工事やリフォーム工事の施工ミスを抑制するため
  4. ◆補修・メンテナンスすべき箇所を把握するため(定期点検を含む)
ここで挙げた4点のうち、最も多いのは「住宅購入時の判断材料にするため」に利用する人です。購入する住宅の施工状態や劣化状態を把握することで、後悔しない住宅購入をしたいというニーズは高く、そのためにホームインスペクションの必要性は高いと言えます。
以上の4点のほかにも、依頼者の都合・考えにより利用することもありますが、その目的に合う調査内容であるか、依頼前に確認しておく必要があります。
例えば、発注した工事内容が完成した建物に全て含まれているか確認したいという目的で依頼しても、一般的なホームインスペクションではそういった業務は含まれておりませんので、依頼前に確認しておかないと後悔することになります。
また、不具合や欠陥工事の原因や被害状況を確認するための調査もホームインスペクションの一種ととらえることもあります。

ホームインスペクションの対象物件

はじめてホームインスペクション(住宅診断)を依頼するなら、どのような住宅でも対応してもらえるのか不安になることもあるでしょう。基本的には住宅であれば対象となるのですが、もう少し詳しく説明します。

新築も中古も対象

新築住宅も中古住宅もホームインスペクションの対象物件です。もちろん、インスペクションすることについて所有者の了解を得る必要はありますが、新築でも中古でも対象になるのです。
また、新築では完成物件に限らず、建築途中の検査を依頼することもできます。この場合、建売住宅なら売主から、注文建築なら施工者(ハウスメーカーなど)から承諾を得てから依頼しましょう。

木造も鉄骨造もRC造も調査可能

建物の構造にはいろいろな種類がありますが、そのいずれであっても対応可能です(一部の業者では構造の書類を限定していることもあります)。木造、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造と略称で呼ぶことが多い)はもちろんですが、木造とRC造の混構造にも対応可能です。
一戸建てに限らず、アパートやマンションでも対応可能です。ただし、分譲マンションについて依頼する場合は、基本的には、建物全体ではなく購入する住戸と共用部の一部のみが対象となるので注意してください。

ホームインスペクション(住宅診断)は

一戸建てに対してより多く普及しています。


調査内容と指摘事例と費用(調査料金)

ここでは、一般的なホームインスペクションにおける調査内容および費用について説明します。インスペクション業者によって多少の差異があるものの、良い目安になるでしょう。

ホームインスペクションの調査内容・範囲

一戸建て住宅のホームインスペクションの調査方法は、主に目視や打診、触診、計測(傾き・含水率・ひび割れ)です。
調査の際は、以下の写真のようなオートレーザーや水泡タイプの水平器などの調査機材を用いて、調査をします。


一戸建て

一戸建て住宅における調査範囲は、次のとおりです。

◆建物外部◆

基礎・外壁・軒裏・屋根(但し、地上やベランダ等から目視できる範囲)・バルコニー

◆建物内部◆

床・壁・天井・水周り設備(キッチン・トイレなど)・建具・サッシなどです。また、床下や小屋裏(屋根裏)も調査対象です。

マンション

マンションでは、専有部分(住戸)の床・壁・天井水周り設備(キッチン・トイレなど)・建具・サッシ・バルコニーなどが調査対象です。また、中古マンションでは共用部にあたる外壁なども一部で確認を行います。

指摘が見つかる頻度

インスペクションを依頼したときに、実際にどれくらいの頻度で指摘事項が見つかるのか気になりませんか?
指摘といっても建物構造に影響がない軽微なものは、ほとんどの住宅において指摘されますが、もう少し重要度の高い指摘となるとどれくらいあるのか、3段階にわけて下の表にまとめました。

人によって思っていたより多いか少ないか印象がわかれるかもしれませんが、重大な瑕疵の指摘が10~20回に1度あるというのは意外と多いと感じる人が多いかもしれません。

指摘事例

調査内容や範囲の説明をしたときに多くいただく質問の1つが、前述の「指摘が見つかる頻度」ともう1つ、具体的にどのような指摘事例があるのか?ということです。
指摘には、構造耐力に関わる不具合や防水上の懸念がある不具合、その他の建物の性能・機能に関わる不具合があります。例えば、基礎の構造クラック、構造金物の著しい緩み、小屋裏の雨染み、著しいシロアリ被害、外壁の継ぎ目の割れなどが挙げられます。
  1. 基礎の構造クラック
  2. 基礎で見つかったひび割れで、巾・深さともに大きく、構造体力に影響があるももの、つまり、構造クラックというものです。

  1. 屋根裏の構造金物の緩み
  2. 屋根裏(小屋裏)の内部に入って調査した時に見つかった、構造金物の取り付け状態の緩みです。このときは、小屋梁や火打ち梁などの数か所で見つかっており、構造体力に影響がある指摘でした。
  1. 屋根裏の水染み
  2. 屋根裏の内部で行う調査において、野地板などに見られた水染みです。下部の断熱材にも水が垂れた跡があり、雨漏りの可能性が高い状況でした。
  1. 床下のシロアリ被害
  2. 床下へ潜って調査した際に見つかったシロアリ被害です。根太という部位に大きな食害があり、その周囲を押すと凹むような状況でした。
  1. 外壁の継ぎ目のひび割れ
  2. 外壁のサイディング材の継ぎ目のシーリングにひび割れが入り、隙間ができていました。今後、雨漏りの原因となりうる個所であるため、補修が必要です。
他にも多くの事例がありますが、よくある事例については以下の記事において写真付きで紹介しているので、是非ご参考にしてください。

費用(調査料金)

ホームインスペクションに必要な費用(調査料金)は概ね以下のとおりです。
  1. マンション
  2. ・4~6万円程度
  3. ・オプションでコンクリート強度調査などを付ける場合、+1.5~4万円程度
  1. 一戸建て(完成物件・中古)
  2. 5~7万円程度
  3. ・オプションで床下・屋根裏の進入調査、専門機材による調査などを付ける場合、+2~10万円程度
  1. 一戸建て(新築工事途中)
  2. ・検査回数・規模等による(5~60万円程度)
  3. ・1回のみなら、5~10万円程度
ホームインスペクションの調査料金は、調査範囲・内容を限定的にすることや担当者の質を落とすことで低額な価格を設定するケースもありますが、大きな買い物をするときだけに、適正価格の業者へ依頼する必要があります。

ホームインスペクションのメリット・デメリット

ホームインスペクションを依頼する人にとってのメリットとデメリットを紹介します。
ホームインスペクションを依頼する人にとってのメリットは、建物の状態を把握してから購入判断やリフォーム・修繕の判断をすることができる点です。
一般の人が自力で建物の状態を把握することは難しいため、誤った考えで購入・リフォームなどを判断してしまうことがあり、後に失敗に気づいて後悔する人が少なくありません。こういった後悔をしてしまう確率を下げるメリットがあるのです。

デメリットは、費用負担があるという点です。なかには無料のホームインスペクションサービスもありますが、それはサービス提供者の意図(リフォーム等の受注)があるため、適切な診断結果を得られず、かえって損してしまうリスクがあります。
費用がかかるとはいえ、それだけのメリットがありますので、検討する価値はあると言えます。
しかしインスペクションは買主にとって大事なことですが、売主にとっては早く、確実に売ることが大事です。買主がインスペクションを依頼している間に、他に買いたいという人が現れたなら売りたいと考えることも少なくありません。
不動産購入申込書を提出して申し込みしておくことで、購入の優先順位を抑えられることもあります、この要望を受け入れてもらえず、インスペクションの結果を待ってもらえないこともあるのです。つまり、先に売れてしまうリスクがありうるということです。

必要書類と所要時間

ホームインスペクションを依頼する際には、必要書類や所要時間のことも考えておかなければなりません。必要書類には必須のものと、必須ではないもののあれば役立つ可能性があるものがあります。

必要書類(必須のもの)

  • ◆平面図(無ければ簡易な間取り図で代用)
  • ◆住宅地図
平面図(または間取り図)は、調査を担当するホームインスペクターが、事前に建物形状と間取りをイメージして、調査漏れすることのないように準備しておくことと、現地で指摘事項のメモなどに活用することに使います。
住宅地図は、現地に訪問するために必要なもので、住所だけでは場所を確認できないこともあるので、準備しておきたいものです。Googlemapなどで場所を示すだけでも問題ありません。

必要書類(必須ではないもの)

  • ●立面図
  • ●敷地配置図
  • ●地盤調査資料
  • ●建築年月を確認できる資料(中古住宅の場合)
立面図も平面図と同じくホームインスペクターが、事前に建物形状をイメージしておくことに役立ちます。敷地配置図も同様ですが、この図面があれば、敷地の形状と凡その境界位置を確認できるため、外構を確認するときに役立つ可能性があります。
地盤調査資料とは、地盤調査報告書及び地盤改良工事の施工報告書です。これらがあれば、地盤の状況を知ることに役立ちます。ホームインスペクションでは、地盤まで確認できませんが、知識がある専門家ならこの資料から地盤のことを説明することができます。建物だけではなく、地盤についても把握しておきたい人は多いでしょう。
建築年月を確認できる資料としては、建築確認済証・検査済証・確認台帳記載事項証明書が役立ちます。また、建物の登記事項証明書も完成年月を確認するのに役立ちます。

ホームインスペクションに関するよくあるご質問

最後に、よくある質問にお答えします。

Q.不動産会社・建築会社が嫌がるか?

買主のなかには、ホームインスペクションを依頼することで、不動産会社や建築会社が嫌がるのではないかと気を遣う人もいます。実際に、嫌がる担当者もいますが、そうではない人も多くいますので、こればかりは要望を伝えて反応を確認するしかありません。
確実に言えることは、インスペクションを依頼する人は非常に多くなっており、不動産・建築業界のうち住宅売買・建築に携わる人たちにとっては日常的に聞いたり見たりするため、それほど遠慮する必要はないということです。

Q.耐震診断もホームインスペクションか?

依頼される前によくある質問の1つに、「インスペクションには耐震診断も含まれるのか?」というものがあります。似た質問としては、「インスペクションで耐震性も確認できるか?」というものもあります。
耐震診断とホームインスペクションは似ていますが、別物です。よって、耐震性の確認も希望するならば耐震診断も依頼しなければなりません。
耐震診断には、ホームインスペクションで調査する建物の劣化状態の情報を活用することができます。もう少し簡単に言えば、ホームインスペクションと耐震診断には重複する部分があるのです。

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まとめ


新築住宅のホームインスペクション(住宅診断)を依頼する人のなかに、表面的な仕上げ材の傷や汚れのチェックに多くの時間を費やしている人がいます。
しかし、傷や汚れは住み始めれば生じるものですし、長期的に見ても住宅を傷めるようなものではありません。建物の構造・機能・性能に関わる大事な点をチェックするようにしたいものです。専門家に任せることで、これが可能になります。不動産の取引には非常に複雑な知識や経験が必要になります。いい不動産会社と出会うことができれば、面倒な手続きも代行してくれて適切なアドバイスをしてくれます。

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