”その査定額は正解?” 売主も知るべき不動産の価値が審査に影響する担保評価とは

  • 不動産コラム
  • 売却相談
  • 相続相談

不動産の価値が審査に影響する担保評価とは

  1. このブログ記事の趣旨
  2. 住宅ローンの審査では、申し込み者の属性に加え、物件の担保価値も重視されます。担保価値が低いと買主が借りられない可能性があり、審査に通ったとしても融資額が伸びないでしょう。住宅ローンにおける担保の基礎知識や、物件選びの重要性についてご説明いたします。


「まずは売却の基礎知識を知りたい」という方は、
こちらのブログ記事をご覧ください。
◆完全保存版◆ 不動産取引の売却の全体の流れ 

不動産担保ローンの担保とは


住宅ローン契約では、金融機関が契約者に対し、担保の提供を求めるのが基本です。役割や種類など、まずは担保の基礎知識について理解を深めておきましょう。

担保の役割

金融業界における『担保』とは、金融機関からお金を借りた人が返済できなくなったときのために、他の返済方法として用意してもらうものです。

返済期間が30年以上にわたることもある住宅ローンでは、契約者が返済不能になる可能性も十分にあり得ます。審査時の属性では問題がなくても、病気や職場の倒産などで収入がなくなれば、月々の返済がストップしてしまう状況にもなりかねません。

契約者が万が一の事態に陥ったときに備えて、金融機関は契約者に担保を提供してもらいます。担保があれば、返済が止まった際も担保を換金して残債に充当できます。

住宅ローンでの担保の種類は、物的担保と人的担保の二つです。また、担保がいらないローンを『無担保ローン』といい、担保を必要とする『有担保ローン』と区別されます。

物的担保

債務者または第三者が所有する、物品や権利など特定の財産を担保にすることを、『物的担保』といいます。住宅ローンにおいては、土地や建物などの不動産を物的担保とし、抵当権を設定するのが一般的です。

物的担保のうち質権と抵当権には、『優先弁済的効力』があるとされています。優先弁済的効力とは、他の債権者に優先して債権回収を図れる効力のことです。

ローン契約者がローン以外にも債務を抱えている場合、原則として債権者間に優劣はありません。しかし、契約者の物件に抵当権を設定している債権者がいれば、持っている債権額を優先的に回収できます。

また、物的担保は物品に対する信用に依存しているため、不確実性が高い人的担保よりはるかに重要度が高いと考えられています。

人的担保

債務者が債務を履行できなくなった場合に備え、第三者に債務を負わせる仕組みが『人的担保』です。人的担保における対象者の代表例としては、保証人・連帯保証人・連帯債務者が挙げられます。

保証人と連帯保証人は、責任の重さに違いがあります。金融機関から返済請求を受けた際、保証人は債務者本人に請求する旨を主張できるのに対し、連帯保証人は債務者本人より先に請求されても応じなければなりません。

連帯債務とは、同一の債務に対して複数の債務者がいることです。夫婦が収入合算で住宅ローンを組む場合などに、片方を連帯債務者とする場合があります。金融機関は、夫婦のそれぞれに返済請求を行うことが可能です。

購入する物件が物的担保となる


住宅ローン契約では、もしものときのために購入物件を物的担保とするのが原則です。物件に設定される抵当権の意味と、金融機関が抵当権を行使する状況について解説します。

物件には抵当権が設定される

住宅ローンの契約を締結する際、金融機関は購入物件に対して『抵当権』を設定します。抵当権とは、契約者が返済不能となった場合に備え、物的担保としている不動産を売却して返済に充当できる権利です。

物件に抵当権を設定するためには、『抵当権設定登記』の手続きを行わなければなりません。一般的に、登記手続きは契約者本人が行うのではなく、金融機関や指定の司法書士が行います。

抵当権登記の際は、登録免許税と司法書士に支払う報酬の準備が必要です。登記手続きが完了した後、住居の引き渡しと融資の実行が行われます。

抵当権が行使される状況とは

住宅ローンの契約者がローンを返済できなくなった場合、金融機関は抵当権を行使し、担保としている物件を競売にかけます。

競売による売却代金をローンの残債に充てて完済を図りますが、売却代金で残債の全額をカバーできなかった場合、残った分は保証会社に引き継がれます。

金融機関から引き継いだローン債権に関し、保証会社は債務者と相談し、今後どのように返済を進めていくのか決めます。一括で返済できなければ、新たなローンを組むことになるでしょう。

このように、返済不能になると物件を手放さざるを得なくなる上、完済するまで債務がついて回ります。

物件の担保価値が低いと審査に通らない


抵当権を設定する物件には、より高い担保価値を求められます。ローン審査における、物件の担保価値の重要性を確認しておきましょう。

売却により残債を完済できるかが基準

住宅ローンの審査は、『仮審査』と『本審査』の2段階で実施されます。融資の可否を判断する仮審査でチェックされる主な内容は、契約者の返済能力と物件の担保価値です。

購入物件の担保価値が著しく低いと判断された場合、審査での評価は下がりやすくなります。返済不能となった際に物件を売却しても、ローン残債を完済できるだけの売却代金を得られないためです。

中古物件を購入するケースでは、担保価値の算出が難しくなるため、より慎重な審査が行われます。新築住宅を取得・購入する場合に比べ、審査期間が長くなるでしょう。

担保価値の算定は金融機関による

土地や建物の担保価値は、金融機関ごとに独自の基準を用いて行われます。価値の算定に使用されるのは、固定資産税評価額・路線価・公示地価・法定耐用年数などです。土地の面積や建物の延べ床面積、築年数によっては全く取り扱わない金融機関もあります。

評価額を算定した後は、金融機関ごとに定めた掛け目を使い、融資可能額を計算します。より慎重を期すため、60~80%を掛け目としているケースが一般的です。

不動産評価額が高いほど売却時の回収額も増えることから、融資可能額は高額に設定されやすくなります。ただし、評価方法や掛け目は金融機関により異なるため、基本的には同じ物件でも融資可能額に差が出ます。

審査に通過しても減額承認となる場合も

住宅ローンの審査では、『減額承認』を受けるケースがあります。減額承認とは、申し込み者の希望額より金額を下げた融資可能額なら、ローン契約を可とすることです。

物件の担保価値が低めに算定された場合に、減額承認を受けやすくなります。融資可能額が希望額に届かなければ、物件や借入方法の変更などを検討しなければなりません。

3,000万円の物件をフルローンで購入したい場合に、融資可能額2,500万円で減額承認となったら、残りの500万円は現金で支払う必要があります。ペアローンや収入合算を利用できれば、年収を増やすことで融資可能額が増額されるケースもあるでしょう。


担保価値の低い物件の特徴

物件の担保価値が下がってしまう原因には、さまざまなものがあります。価値が低い物件の代表的な特徴を紹介します。

旧耐震基準のマンション

建築基準法では、住宅の耐震性を示す『耐震基準』が定められています。震度6強程度の地震にも耐えられる構造基準を定めた現行の耐震基準は、1981年に建築基準法が改正された後のものです。

1981年6月1日より前の耐震基準に基づいて建てられたマンションは、それ以降に建築されたマンションと区別するために、『旧耐震基準のマンション』と呼ばれます。

地震による建物の倒壊リスクが高い旧耐震基準のマンションは、担保価値を下げてしまう傾向があります。審査に通っても減額承認となる可能性が高いため、自己資金を多めに用意しなければならなくなるでしょう。

築年数が経過した戸建て

多くの金融機関では、戸建て住宅を評価する際、築年数が20年に達していれば担保評価額をゼロとしています。金融機関によっては、築10年で担保価値をゼロと評価するケースもあるほどです。

一般的に、木造戸建ての価値は、建築後10年経過した時点で資産価値が約半分まで下がります。築15年を過ぎたころには20%程度の価値まで下がり、築20年以降は価値がゼロに近づき、ほぼ横ばいになります。

一方、マンションは築10年でも70~80%の資産価値を維持する傾向があります。資産価値の減少ペースが緩やかであり、価値が50%を割るのは築25年が経過したころです。

戸建てはマンションに比べ、築年数が担保価値に大きく影響する点を覚えておきましょう。建築後10年以上経過した戸建ては要注意です。

参考:中古住宅流通、リフォーム市場の現状|国土交通省

不適格条件に該当する物件

住宅ローンでは、既存不適格や違法建築などの条件を示した『不適格条件』を定めています。既存不適格とは、建築時には適法であったものの、現行法では違法となる状態のことです。

不適格条件にあてはまる物件は担保価値が下がります。違法建築物件は、原則として審査に通りません。既存不適格物件は、それだけで審査に通らないことはほとんどないものの、融資限度額に影響を与えるでしょう。

不適格条件には、既存不適格や違法建築以外にも、担保価値を下げてしまうさまざまな条件が定められています。いずれの条件に該当する場合も、審査時に不利に働くことがほとんどです。

土地と建物の面積が小さい

狭小住宅でも要件を満たせば住宅ローンを組むことは可能ですが、一般住宅よりも床面積の要件を満たせない可能性が高いため、狭小住宅は住宅ローン審査に通りにくいといわれています。床面積とは、建物各階の壁芯面積のことで、各階の床面積の合計が延床面積です。
また金融機関によっては41㎡未満の土地面積が扱えないなど、金融機関によって規定は様々です。
また、狭小地に家を建てる場合は、法的制限によって建物の高さや間取りに制限がある可能性があります。土地代は安く抑えられても工事費が高くなることもあるので、実際に現地に足を運び、敷地条件を確認するようにしましょう。


希望物件に担保価値が付かなかったら


物件の状態によっては、担保評価を得られず審査に通らない場合もあります。融資を受けられなかった際の選択肢を二つ紹介します。

他の物件に変更する

希望物件が不適格条件に該当する場合、条件の内容によっては、担保価値が付かずに融資を受けられないケースがあります。違法建築物件が代表例です。

ほかにも『敷地が隣地に越境している』『住宅前面の道路が狭過ぎる』『抵当権や借地権が設定されている』などにあてはまる物件は、審査に通らない可能性が高くなります。

これらの物件は、ローンを組まずに取得できたとしても売却しにくいため、手放す際にも苦労しかねません。他の物件への変更を検討するのがおすすめです。

無担保ローンを利用

担保価値が付かない物件をどうしてもローンで購入したいなら、『無担保ローン』の利用も検討しましょう。無担保ローンとは、担保なしで融資を受けられる住宅ローンです。

無担保ローンは担保がいらないため、審査を早く進められます。抵当権設定登記を行う必要がなく、登記にかかる費用や司法書士への報酬も発生しません。

ただし、一般的には通常のローンより金利が約1%高く設定されます。返済期間も長期間にはできません。融資額も低く抑えられるため、希望額に達することはほとんどないでしょう。


不動産売却を検討していて、
まずは査定額をお知りになりたい方は
独自の基準を満たした下記のセルフ査定がおすすめです。
面倒な個人情報の入力一切不要!
簡単20秒で査定額がわかります




これが真実!! 後悔しない売却法



まとめ


住宅ローンの審査では、物件の担保価値が重視されます。担保価値が低いと融資を受けられない可能性があり、審査に通っても融資額を減らされるケースがほとんどです。

旧耐震基準のマンションや築年数が経過した戸建ては、担保価値を低く評価される傾向があります。担保に関する知識を身に付け、申し込み前に物件の価値を確認しましょう。所有者は不動産会社の査定額だけではなく、誰がその不動産を買えるのかを不動産会社と相談するべきです。金融機関が取り扱えない不動産と言う事は買えない不動産となる事が多いです。販売価格を自由に決めるのは良い事ですが、根拠のある説明ができる不動産会社と出会っていただける様願っています。
不動産の取引には非常に複雑な知識や経験が必要になります。いい不動産会社と出会うことができれば、面倒な手続きも代行してくれて適切なアドバイスをしてくれます。
また、思い入れのある土地や、資産性のある土地なら手放さずに活用するという選択肢もあります。

彦や不動産では、不動産賃貸経営・売却・購入・建築ともにさまざまなサポートを行っています。賃貸経営・売却を考えている方や、物件の購入・建築でお悩みの方は、是非、彦や不動産にお問い合わせください。

実家の価値 実家相続 実家どうする 実家売却 実家売るには 初めての売却 初めての不動産 東京都北区 イエウール 離婚どうする 不動産売却 空き家 空き家対策 空き家活用法 後悔しない不動産取引 後悔しない 住宅ローンどうする 売却相談 家の価値 売却の窓口 家売る いえいくら 不動産高く売りたい 不動産相談 一戸建て 離婚 遺産相続 相続登記 不動産どうする 不動産の価値 解体 買いたい 不動産の答え 査定 査定額 土地活用 土地いくら 不動産どこに相談 信頼 パートナー 結婚 相続不動産 不動産高く 一括査定 注文住宅 リフォーム 不動産会社 荷物 引越し 暮らし 子育て 独立 財産分与 一戸建て 管理会社 媒介 いくら 正直不動産 任意売却 賃貸人  賃借人 賃貸経営 戸建貸す マンション 店舗 事務所 SUUMO HOME‘S アットホーム 貸す 不動産トラブル 退去 入居 トラブル

不動産コラムの別の記事

  • ”損しない売却の秘訣” 不動産の資産整理の道しるべ

  • ”もう限界!?” 少しでも離婚を考えたら読むブログ 

  • ”知ってて欲しい” 親の介護費用6つの対処法

  • ”9割が知らない” マンション投資の甘い罠とは?