”プロが伝える” 今更聞けない分譲賃貸の見分け方

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今更聞けない?分譲賃貸とは


賃貸マンションを探したことがある人は、「分譲賃貸」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。分譲賃貸は「仕様・設備が高い」などのメリットがあるので、賃貸マンションの中でも人気があります。賃貸マンションを探している人の中には、「分譲賃貸を探している」という人もいるくらいです。

  1. このブログ記事の趣旨
  2. 今回は、分譲賃貸のメリット・デメリット、そして分譲賃貸の見分け方などを詳しく解説します。


「賃貸経営の基礎知識を知りたい」という方は、
こちらのブログ記事をご覧ください。
プロは知ってる アパート経営の失敗回避策


1.売主分譲マンションとは?

分譲マンションとは、ディベロッパー(不動産会社)が売主となり、1部屋ずつ販売するマンションになります。大手でいうと、「三菱地所」や「三井不動産レジデンシャル」「住友不動産」などが分譲するマンションのことです。もちろん、マンションを供給するディベロッパーはたくさんあるので、このような「大手」以外の不動産会社が売主であることもあります。

1-1.分譲マンションを供給する流れ

不動産会社が分譲マンションを供給する流れは以下の通りです。

  1. 1.マンションに適した土地を購入

    2.その土地にマンションを建築

    3.建築途中、もしくはマンション完成後にマンションを販売

モデルルームなどでマンションを販売しているときは、まさに上記「3」の分譲マンションの販売をしているときです。分譲マンションは、自社で土地を購入して建築する必要があるので、ある程度資金力がある不動産会社しか供給できません。


1-2.賃貸マンションとの違い

賃貸マンションは、1部屋ずつを「売却」するのではなく、1部屋ずつ「賃貸」するためのマンションです。賃貸マンションのオーナーは、個人も法人もどちらもいますが、「マンション1棟のオーナー」となると法人である場合が多いです。
なぜなら、前項のようにマンションを1棟建てるためには資金力が必要なので、個人でマンション1棟を建築するのは中々難しいからです。
賃貸マンションの「オーナー」と「賃付け」については、以下のパターンに分かれます。
  1. 1.法人がオーナーでそのまま賃貸に出す

    2.法人がオーナーで1部屋ずつ個人投資家に売却

    3.個人がオーナーでそのまま賃貸に出す

1.法人がオーナーでそのまま賃貸に出す
法人が土地を取得してマンションを建築します。ここまでは分譲マンションと同じですが、そのマンションを1部屋ずつ「売る」のではなく、賃貸」に出す点が違います。賃付けを自社でするか、賃付けだけは別の仲介会社に任せるかは、オーナーである法人次第です。

2.法人がオーナーで1部屋ずつ個人投資家に売却
また、前項と同じように法人が土地を取得してマンションを建て、さらにそれを個人投資家に売却するパターンもあります。一見、分譲マンションと同じパターンですが、「居住用」ではなく「賃貸用(投資用)」である点が違います。個人が投資用で購入したあとは、個人が仲介会社を選択して、賃付けを行うことが多いです。

3.個人がオーナーでそのまま賃貸に出す
個人がオーナーの場合には、マンション1棟ではなく、マンションの1室のオーナーである場合が多いです。ただ、個人が土地を購入してマンションを建て、そのままオーナーとなる場合も少ないですが存在します。

この場合は、「マンション経営」と言われており、賃付けは仲介会社にお願いすることがほとんどです。またアパート程度の規模であれば、個人がオーナとなり「アパート経営しているケースは多いです。

2.分譲マンションと賃貸マンションは何が違うか?


分譲マンションと賃貸マンションの違いは、前項のように「居住用」か「賃貸用(投資用)」かという点です。そのため、分譲マンションと賃貸マンションは、マンション自体に以下のような違いがあります。
  1. 1.防音性に優れている

  2. 2.断熱性に優れている

    3.管理体制が良好

    4.長期修繕計画が作られている

    5.細部の建築

    6.管理組合がある

結論から言うと、分譲マンションの方が「仕様・設備」が良いです。なぜなら、「居住用」のマンションであるので、永住志向の人がターゲットになるからです。永住志向の人がターゲットになるということは、仕様・設備を高くしないと売りにくいというワケです。

また、仕様・設備を上げることでマンション価格も上がりますが、マンション価格が上がったとしても、永住志向の人は「設備・仕様の高さ」を優先させることが多いです。

2-1.防音性に優れている

「防音」に関する仕様でいうと、最近の分譲マンションの多くは「二重床二重天井」になっています。二重床二重天井とは、読んで字のごとく床と天井が二重になっている仕様のことです。
また、多くの場合には、二重になっている「空洞」部分にグラスウールのような吸音材が施されています。つまり、床と天井を二重にした上に、吸音材で音を吸収しているというワケです。
一方、賃貸マンションで床と天井が二重になっているケースは少ないです。そのため、分譲マンションの方が防音性に優れています。

2-2.断熱性に優れている

また、「断熱性」に関しても、分譲マンションの方が高いケースが多いです。最近の分譲マンションは、壁や天井などに「断熱材」を施しています。断熱材は、夏は暑い外気をカットして内側の冷気を逃がさないようにする効果があります。一方、寒い冬は外部の寒い冷気をカットして、温かい室内の空気を逃がさないようにする効果があります。賃貸マンションでも断熱材を施している場合もありますが、分譲マンション方が断熱材の「範囲」や「厚さ」に優れているケースが多いです。そのため、分譲マンションの方が断熱性能は高いケースが多いのです。


2-3.管理体制が良好

また、管理体制も分譲マンションの方が良いケースが多いです。なぜなら、繰り返しますが分譲マンションは「永住志向」の人が多く、自分の部屋を「自己資産」と考えているからです。自己資産と考えている人が多いので、室内の不具合や日々の生活の不備について、居住者が管理組合に指摘することが多いのです。そのため、分譲マンションは以下のような点で、賃貸マンションよりも管理体制に優れています。

  1. ・管理人が常駐または管理人の滞在時間が長い

    ・清掃回数が多く清掃範囲が広い

    ・24時間のコールセンターがある

    ・警備会社と提携している

2-4.長期修繕計画が作成されている

さらに、前項でも言いましたが、分譲マンションの居住者は自分の部屋を「資産」と捉えています。

一方、賃貸マンションの居住者は単なる賃借人なので、自分の部屋は資産ではありません。そのため、オーナーもマンションの修繕に分譲マンションほど費用をかけないのです。分譲マンションついては、25年~30年周期で、細部まで長期修繕計画が策定されています。これを策定しておかないと、「永住」目的の入居者が集まらないからです。

一方、賃貸マンションでも修繕計画を策定しているオーナーもいますが、分譲マンションほどしっかりは策定していないことが多いです。そのため、同じ築年数のマンションを比べると、分譲マンションの方が賃貸マンションよりもキレイであることが多いです。


2-5.細部の建築

また、分譲マンションと賃貸マンションは細部の建築も異なります。たとえば、以下のような点です。
  1. 1.分譲マンションの方がエントランスは豪華に造りこむ

  2. 2.分譲マンションは外部廊下なども造りこむ

    3.分譲マンションの方が共用部分がしっかり造られている

エントランスが豪華

まず、分譲マンションの方がエントランスは豪華に造られていることが多いです。分譲マンションのパンフレットやホームページを見てもらえれば分かりますが、大抵の場合にはエントランスのパース(CG)があります。それだけエントランスは、「マンションの顔」として重宝される部分であるということです。

また、エントランスに植栽があるなどの細かい配慮も、分譲マンションは賃貸マンションより優れています。

外部廊下などもタイル貼り


分譲マンションと賃貸マンションで「見た目」が最も異なる部分は、外部廊下などのマンションの「裏」部分です。賃貸マンションは、エントランスや外から良く見える「表」の部分は、タイル貼りにしてキレイに見えることが多いです。しかし、外部廊下などの「裏」の部分はコンクリートの打ちっぱなしであることが多いです。しかし、分譲マンションは居住者への配慮から、マンションの裏部分もタイル張りや吹き付けなど、細部まで造りこんでいる場合が多いのです。

共用部分がしっかり造られている


共用部分とは、「ゴミ置き場」や「駐車場」「駐輪場」などのことです。分譲マンションは入居者が使いやすいように共用部分もしっかり造られています。たとえば、ゴミ置き場には脱臭機能を付けて居たり、駐輪場に出し入れがしやすいラックなどが設置されたりします。一方、賃貸マンションでは、分譲マンションほど造りこまれていない場合が多いです。

2-6.管理組合がある

最後にご紹介する、「分譲マンションと賃貸マンションの違い」は、管理組合の有無です。管理組合とは、入居者がつくる組合のことです。管理組合は主に以下の役割を担います。
  1. 1.修繕計画の変更

    2.管理費や修繕積立金の変更

    3.共用部のルール変更(ゴミ出しルールなど)

上記のほかにも、基本的にマンションに関する全てのことを管理組合で決めます。つまり、入居者全員がマンションのオーナーであるということです。一方、賃貸マンションは、上記のような「マンション全体に関わること」は、基本的にオーナーが全て決めます。そのため、マンションの今後については、賃借人は全く口を出すことができないのです。

3.分譲賃貸のメリット・デメリット


前項までで、分譲マンションと賃貸マンションの違いが分かったと思います。上述したように、分譲マンションは基本的に「居住用」ですが、ワケがあって賃貸に出されることもあります。それを「分譲賃貸」と呼びます。

3-1.分譲賃貸に出されるケースとは?

分譲賃貸に出されるケースは、「居住したかったけれども事情があり一時的に離れる」というケースが多いです。事実、売却せずに賃貸するということは、「手放したくない」という思いの表れです。
ここで言う「事情」とは、たとえば以下のようなことが挙げられます。
  1. ・遠方への転勤

  2. ・相続を受けた

また、このような事情とは異なり、「たまたま安かったから投資用で購入した」というケースも少ないながら存在します。

遠方への転勤

分譲賃貸の理由としては、恐らく「転勤」が最も多い理由でしょう。分譲マンションを購入したということは、「永住」しないまでも長い期間は居住しようと考えるのがほとんどです。しかし、予期せぬ転勤によって住めなくなってしまったときに、仕方なく賃貸に出すパターンが「転勤」です。このときに、マンションを売らない理由は「また出戻る可能性がある」という点と「売却価格が安かった」という2つの理由があります。前者の「また出戻る可能性がある」という場合には、定期借家契約を結ぶこともあります。定期借家契約とは、「2年」などの期間を区切って賃貸に出すことです。定期借家契約を結んでおけば、期限が過ぎれば賃借人を必ず退去させられますが、賃料が下がります。

相続を受けた

また、親御さんが住んでいた家を相続したものの、自分には既に住んでいる家がある場合なども分譲賃貸にするパターンです。この状況で売らない理由は「今後住むかもしれない」や「売却時期を見極める」というような理由があります。ただ、前項の「転勤」よりは、そのマンションに居住する可能性は少ないです。そのため、通常の賃貸借契約を結ぶ場合が多いです。

たまたま安かったから投資用で購入

最後に、特殊なケースの紹介です。分譲マンションが何かの事情で安く売られていて、最初から投資用として分譲マンションを購入するパターンです。たとえば、不動産会社が「残り1戸だから値引してでも売りたい」のようなときです。

基本的には「居住用」でしか住宅ローンは組めないので、投資用でマンションを購入する場合には、現金か金利の高い「アパートローン」での購入になります。

3-2.分譲賃貸のメリット

分譲マンションのメリットは以下の通りです。
  1. ①仕様・設備が良い

  2. ②建物の劣化が少ない

    ③居住者とのコミュニケーションが取りやすい

    ④管理がしっかりしている

基本的には、上述した「分譲マンションと賃貸マンションの違い」に記載してある、分譲マンションの方が優れている点がそのままメリットになります。


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まとめ


このように、分譲賃貸と賃貸マンションは根本的に違いがあります。分譲賃貸は仕様・設備が良いため人気がありますが、一方で「賃料が高め」などのデメリットもあるのです。そのため、分譲賃貸限定で探すのも良いですが、賃貸マンションと並行して探した方が無難です。
不動産の取引には非常に複雑な知識や経験が必要になります。いい不動産会社と出会うことができれば、面倒な手続きも代行してくれて適切なアドバイスをしてくれます。
また、思い入れのある土地や、資産性のある土地なら手放さずに活用するという選択肢もあります。

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