”後悔しない選択” 「定期借家」と「普通借家」の選択肢

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”後悔しない選択” 「定期借家」と「普通借家」の選択肢


「定期借家」という言葉、聞いたことありますか? 一般的に知られている「普通借家」とは異なり、期間を限定して賃貸住宅を借りる契約制度です。欧米の賃貸契約ではスタンダードな「定期借家契約」ですが、日本では約20年前の平成12年3月に借地借家法が改正され、「良質な賃貸住宅などの供給の促進に関する特別措置法」(国土交通省)に基づいて、優良な賃貸住宅を供給されやすくなることを目的として導入された制度です。

  1. このブログ記事の趣旨
  2. 不動産の賃貸借契約には、「定期借家契約」と「普通借家契約」があります。しかし、両者は契約の更新方法などに違いがあるので、賃貸住宅に安心して住めるように、それぞれの契約の仕組みを理解しておくことが大切です。このブログ記事では、定期借家契約と普通借家契約の違いについて詳しく解説します。


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「定期借家」と「普通借家」の違い

同一の物件に住み続けられる「普通借家」と、決められた期間内で契約する「定期借家」。まずは、その特徴を紹介します。

「定期借家契約」と「普通借家契約」との違いとは

「定期借家契約」の賃貸物件とは、同じ物件に住める期間が決められている賃貸借契約。借り主が希望する限り、基本的には同一物件に住み続けられる「普通借家契約」とは異なり、契約期間満了になると、再契約できないケースがあります。再契約を希望する場合は、大家さんと借り主の双方の合意があれば可能です。

定期借家契約とは

定期借家契約とは、契約期間があらかじめ決められている賃貸借契約です。契約の更新がないため、契約期間が満了すると借主は退去しなくてはなりません。ただし、貸主と借主の双方が合意すれば、期間満了後の再契約は可能です。

定期借家契約の場合、貸主側の都合で契約期間が定められるため、普通借家契約に比べると割安な家賃で設定されることが多いです。貸主側は定めた期間で借主に退去してもらえるため、「一時的に不在となる物件を賃貸に出す」「現在空き家の実家を自分が住むまで賃貸に出す」といった場面での活用ができます。

普通借家契約とは

普通借家契約は、一般的な不動産賃貸で利用される賃貸借契約です。契約期間は通常2年で設定され、期間満了後も借主が希望すれば契約は更新されるため、長く住み続けることが可能です。借主が手厚く保護される契約形態であるため、貸主からの一方的な都合による退去はありません。

普通借家契約の場合、貸主側の都合で契約期間を定められますが、借主が希望する限り更新を拒むことができません。そのため、貸主側が短期間で退去してほしい場合には、適していません。

その他の違い

定期借家契約と普通借家契約は、以下のような点でも違いがあります。


契約方法や説明

普通借家契約を締結するには口頭でも可能ですが、定期借家契約は公正証書などの書面で行う必要があります。また、定期借家契約は賃貸借契約書とは別に、契約の更新がないことを書面で交付して説明しなくてはなりません。

契約期間や通知義務

普通借家契約は1年以上で設定する必要があり、1年未満の賃貸借契約の場合は、期間の定めのない賃貸借とみなされます。一方で、定期借家契約は契約期間に制限がなく、1年未満の契約も有効となります。

1年以上の定期借家契約の場合、貸主は契約期間満了の1年から6ヵ月前までに借主に対して契約終了を通知する義務があります。通知をしない場合、貸主は契約終了を借主に対抗できません。借主は、通知の日から6ヵ月を経過するまでは同条件で住み続けられます。


中途解約

普通借家契約は一般的に中途解約に関する条項が記載されており、借主からの中途解約はその条項の範囲内で可能ですが、貸主からの場合は正当事由が必要です。一方で、定期借家契約では、貸主と借主のどちらも中途解約は原則認められません。

ただし、床面積200㎡未満の居住用建物でやむを得ない事情がある場合は、借主からの中途解約は可能です。なお、普通借家と定期借家ともに、中途解約に関する特約がある場合はその定めに従うこととなります。

「定期借家」物件に住むメリット

短期間の契約が可能なことや、充実した仕様の住まいで暮らせること。さらには、家賃を安く抑えられるなど、「定期借家」物件を借りる側のメリットを詳しく解説します。

賃料が相場より低いことが多い

例えば、建て替えや取り壊しが決められている住居などは期間が限られているため、家賃が相場よりも低く設定されていることがあり、入居者が好条件で借りられる可能性があります。さらに、迷惑行為などの賃貸契約で取り決めたルールが守られていない入居者がいた場合、「定期借家」では大家さん側から契約期間の満了とともに契約終了できるので、住環境を一定のレベルに保てるというメリットも見逃せません。

短期間の契約が可能

決められた期間の契約、3カ月や半年など短期契約が可能な物件もあります。そのため、期間が決まっている転勤や、持ち家が建て替えやリフォームをしている間の仮住まいなど、期間を決めて借りたい人におすすめです。

良質な住宅に住める可能性がある

先に説明したように、大家さんが自身の居住目的に建てた、あるいは購入した戸建てや分譲マンションが貸し出されるケースもあるため、比較的新しく、さらには、一般的な賃貸物件の仕様にはない、充実した住宅設備の住まいに暮らせる場合があります。

「定期借家」の物件を借りるときの注意点

契約更新や中途解約が難しい「定期借家契約」。住み始めてから、「こんなはずでは」を防ぐために、契約時にチェックすべきポイントを紹介します。

中途解約ができないケースに注意

ここまでは「定期借家」のメリットを紹介しましたが、契約の確認を怠ると、大きな不利益を被る場合もあります。実際に借りる際のポイントは何でしょうか。
まず、「定期借家契約」では、途中で解約をすることができないのが原則です。契約内容によっては、契約満了を待たずに解約した場合、残りの期間の家賃を請求されるケースがあります。ただし、「転勤・療養・親族の介護」などのやむを得ない正当事由があり、借り主が該当する賃貸物件を生活の拠点として使用し続けることが困難となった場合は、中途解約の申し入れが可能となります(※住居用の建物で、床面積200平方メート未満に限ります)。
また、契約期間以降も継続して住み続けたい場合は、再契約には大家さんと借り主側の両方の合意が必要です。契約期間中に家賃の滞納や住民とのトラブルなどの問題がある場合には、再契約が難しくなります。

契約期間が満了したら、速やかに退去が必要

ただし、契約期間が1年以上の場合には、大家さんは期間満了日の6カ月から1年の間に、借り主へ期間の満了により契約終了の旨を通知する必要があるので、次の住まいを探す余裕は十分にあります。
後々のトラブルケースを避けるため、契約時に大家さん側には「賃貸借契約には更新がなく、期間の満了により終了する」ことを公正証書などで作成し、交付・説明をすることが法律によって定められています。「定期借家」の物件を借りる際は、契約期間、中途解約に関する特約があるのか、条件によっては再契約が可能なのかなど、「定期借家」についての説明と書面での契約書を必ず確認しましょう。

「定期借家」の物件を借りるときの注意点

賃貸経営というと、土地を買って、アパートを建てて…と、継続的に運営していく「大家さん(賃貸オーナー)」というイメージがあると思いますが、実は、持ち家がある人なら誰でも大家さんになれる機会があるのが定期借家の特徴です。
自宅や別荘などを未使用の期間だけ定期借家として貸し出すことも可能です。極端に言えば、1日でも10年でも貸出期間の設定は貸主の自由です。長めに設定すれば、その間、貸主は確実に収入を得ることができます。
普通の人が一体どういうケースで大家さんになれるのかをご紹介いたします。

[活用例1] 転勤期間だけ留守宅を賃貸として貸したい

急な2年間の海外転勤の辞令が…。自宅を売るのか? 貸し出すのか? 空き家のままにしておくのでしょうか? 戻って来る時期が分かっている場合、不在期間を定期借家として貸し出すことで、空き家や自宅を手放すこともなく、賃料収入を得ることが可能です。

[活用例2]親が住んでいた一戸建てを貸したい!

高齢の親が交通・生活利便性が良い住宅に住み替える場合や親と二世帯住宅で同居する場合、親が亡くなった場合など、親の住居を空き家にせずに、定期借家として活用が可能となります。

[活用例3]別荘・セカンドハウスを未使用期間だけ貸したい

リゾート地や地方に所有している別荘やセカンドハウス。オフシーズンは使用していないという人は多いのではないだろうか。オフシーズンの短期間だけ、近隣相場より安めで定期借家として貸し出すことで有効活用が可能です。

[活用例4]田舎へ移住している間だけ自宅を貸したい

田舎や地方への移住をした人の中には、一定期間で自宅に戻る人もいるとか。そういう場合、定期借家にしておくと、気兼ねなく戻って来れるので安心だ。まずは期間を決めて、永住できそうなら売却するなども状況に合わせて検討できます。

●国土交通省発行 パンフレット「定期借家制度をご存じですか…?」(PDF)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/teishaku/pamphlet-shosai.pdf

●定期借家推進協議会
http://www.teishaku.jp/


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まとめ

  1. 現在、定期借家物件は、普通借家に比べても物件数は圧倒的に少ない状況です。しかし、有効な空き家活用法として、個人や企業の遊休資産の有効活用法として、定期借家は今後の賃貸住宅選びの選択肢を広げてくれる存在になると感じています。
不動産の取引には非常に複雑な知識や経験が必要になります。いい不動産会社と出会うことができれば、面倒な手続きも代行してくれて適切なアドバイスをしてくれます。
また、思い入れのある土地や、資産性のある土地なら手放さずに活用するという選択肢もあります。

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