”興味あるけど実際どうなの?” 4つの賃貸経営の極意
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”興味あるけど実際どうなの?” 4つの賃貸経営の極意
この記事では、賃貸住宅経営とは何かについて解説します。
賃貸住宅経営とは、賃貸マンション経営やアパート経営などの「居住用」の建物を賃貸して利益を得るビジネスです。- このブログ記事の趣旨
- 賃貸住宅経営は、貸店舗経営や貸事務所経営などの「事業用」の賃貸経営ほど収益性は高くありませんが、様々なメリット・特徴があります。
この記事では、賃貸住宅特有のメリットやデメリットを始め、賃貸住宅経営を行った場合の相続税対策効果や、法人化の効用などについてご紹介します。
賃貸住宅経営の種類
① アパート経営
アパート経営は、一般的には2階建ての木造や軽量鉄骨造で建てられた集合住宅による賃貸住宅経営のことを指します。
アパート経営は、主に低層の建築物のみが建てられる住宅地などでの賃貸住宅経営に適していると言えます。
2階建てであるためエレベーターなどの設備にコストがかからず、収益性を出しやすいのが特徴で、賃貸マンションほど、立地も限定されません。
※用途地域と呼ばれる都市計画法による地域指定により、地域ごとに建築することができる建物の用途や高さなどが定められています。
② 賃貸マンション経営
賃貸マンション経営は、一般的には、3階以上の集合住宅を用いた賃貸住宅経営のことを言い、主に都市部や駅前・駅近などの中心市街地に適した賃貸住宅経営です。中高層の建築物であることから、耐力の高い重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)により建築されます。
重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)は、高い階層の建物が建築できるメリットがある反面、建築コストが高いのがデメリットと言えます。
中高層の賃貸マンションを建築するためには、容積率(※)が高い立地である必要があり、容積率の高い地域は、相場家賃も高い傾向にあります。そのため、都市部や中心市街地で賃貸マンション経営を行えば、高額な建築コストを、高額な家賃収入で回収することができることになります。
※容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積における割合のことで、例えば容積率が400%の土地であれば、敷地面積の4倍の床面積を持つ建物が建築できることになります。
③ 戸建て賃貸経営
戸建て賃貸経営とは、一棟の戸建て住宅を貸す賃貸経営のことを言います。戸建て住宅が建てられれば良いため、30坪程度の敷地でも賃貸住宅経営が可能です。
建物規模が小さく、一般的に木造で建てられることから、投資額も抑えることができます。ただし、戸建て賃貸住宅経営では、一戸建てであるため必然的に3LDKのようなファミリー向けの間取りとなるのが通常です。
専有面積が広いファミリー向けの間取りは家賃を高く設定することができる反面、家賃を床面積当たりの㎡単価で見ると割安になるため、戸建て賃貸経営は利回りが低くなる傾向があります。
また、一棟貸しであることから、退去が発生すると家賃収入がゼロ円となってしまうため、複数戸を賃貸するアパート経営・賃貸マンション経営よりも戸建て賃貸経営の方が、空室発生によるリスクは、大きくなります。
④ 賃貸併用住宅
賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸住宅が一体となった建物のことを言い、大きく2つの経営形態があります。
ひとつは、住宅ローンを活用して賃貸併用住宅を建築する方法です。
賃貸併用住宅には、自宅部分が建物の50%以上を占める場合、住宅ローンを利用できるという特徴があります。
住宅ローンは、一般的にアパートローンよりも金利が低く、返済期間も長期で組むことができるため、返済金の負担が軽くなります。
もうひとつは、シンプルに敷地を最大限に活用するという方法です。
広い土地であったり、容積率の高い土地であったりする場合、建物の50%以上を自宅部分とする規模で賃貸併用住宅を建てることは、収益性を大きく損なうことに繋がります。
多くの場合、住宅ローンを使用することにこだわるよりも、土地を最大限に活用できる規模で建物を建築し、その一部を自宅部分とする方がメリットは大きくなります。
自宅部分を含めた建築費の多く、あるいは全額を賃貸部分からの家賃収入で賄うことができる場合、住宅ローンを活用するより、むしろ返済金の負担を軽減できるでしょう。
また、賃貸マンションの最上階や1階部分のワンフロアを自宅とすることで、自宅のグレードも高くなります。
アパートも賃貸マンションも、集合住宅という意味では同じ建物です。
そして、実はアパートと賃貸マンションを区別する明確な定義はありません。
一般的に定着しているイメージとしては、下記のようになります。
- ・2階建て以下で、木造・軽量鉄骨造で建築された集合住宅がアパート
- ・3階建て以上で、重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)で建築された集合住宅が賃貸マンション
このように、アパートと賃貸マンションは、階層や構造体は違うものの、本質的には同じものと言えます。
多くの場合、見た目のイメージでアパートと呼ぶか賃貸マンションと呼ぶのかを決めていることになります。
しかしながら、階層や構造体が違えば、賃貸住宅経営に適した立地も異なってきます。
都市計画法や建築基準法などの法律による建築規模の決まりや、相場家賃、地価(=必要になる節税効果の大きさ)などから逆算すると、アパート経営は低層住宅がメインの住宅街などに適し、賃貸マンション経営は中高層の建築物が建ち並ぶ都市部や駅近などの中心市街地などに適していると言えます。
賃貸住宅経営のメリット
次に、賃貸住宅経営のメリットについて解説します。
① 賃貸住宅経営なら需要が安定している
賃貸住宅は、貸オフィスや貸店舗に比べると、需要が景気に左右されにくく安定している点がメリットと言えます。
賃貸住宅経営には、好景気であっても家賃が上昇しにくい反面、不景気であっても家賃はほとんど下落しないという特徴があります。
また、賃貸住宅経営は社会情勢の変化に影響されにくいと言う点も強みと言えます。
例えば、コロナ禍に起因して、昨今ではリモートワークが普及しました。これにより、貸オフィスの賃貸需要が急激に減る現象が起こりましたが、賃貸住宅の需要は大きな影響を受けませんでした。
むしろ、部屋数の多い間取りのリモートワーク向け賃貸住宅の需要は高まっているくらいです。
コロナ禍により、飲食店のような貸店舗も撤退が相次ぎましたが、このような状況においても、賃貸住宅の需要は常に底堅く、景気や社会情勢の変動に左右されにくい点は、賃貸住宅経営の強みと言えます。
② 賃貸住宅経営なら幅広いエリアに需要が存在する
賃貸住宅は、幅広いエリアに需要が存在する点もメリットです。
貸オフィスや貸店舗の場合、ターミナル駅の近くにある商業繁華性の高い好立地でなければ、安定した経営は難しいと言えます。
一方で、賃貸住宅経営の場合、特にターミナル駅周辺などの商業繁華性が高い立地である必要性はありません。
もちろん、駅前や中心市街地にも賃貸住宅の需要はありますが、街の大部分を占める住宅街にも需要が見込める土地活用です。
駅に近いにぎやかな場所に住みたい入居者様もいれば、静かな環境で暮らしたい入居者様もいらっしゃいます。
賃貸住宅の需要は入居者様の趣向に応じて存在し、エリアの需要に合った適正な間取り、設備、家賃とすることで、幅広いエリアで入居が見込める賃貸経営が可能です。
③ 賃貸住宅経営なら用途規制の中でも建てやすい
土地には、自由に様々な用途の建物を建てられるわけではありません。
「用途地域」と呼ばれる、13種類の建築可能な用途規制が存在するためです。この13種類の用途規制により、貸店舗や貸事務所、貸倉庫などは建築可能な立地を大きく制限されますが、賃貸住宅の場合、建築してはいけない地域は「工業専用地域(※)」と呼ばれる地域のみです。
賃貸住宅は、13種類の用途規制の内、工業専用地域を除いたすべての用途地域で建築可能ということになります。
そのため、賃貸住宅は建てられるけど貸店舗は建てられないといった用途地域も数多く 存在し、賃貸住宅経営は、持っている土地を活かしやすい土地活用となっています。
※埋め立て地にあるような大規模工場地帯のこと。
賃貸住宅経営のデメリット
続いて、賃貸住宅経営のデメリットについて解説します。
① 事業系よりも家賃が安い
賃貸住宅経営のデメリットは、貸店舗や貸オフィスといった事業系の賃貸建物よりも家賃が安いという点です。
そのため、貸店舗や貸オフィスの需要がある中心市街地に土地を持っている場合には、事業系の土地活用を選択した方が儲かりやすいと言えます。
② 競合物件が発生しやすい
賃貸住宅は、用途規制がほとんどなく、幅広い地域に賃貸需要が存在するため、多くの土地で実現可能であることから、競合物件が発生しやすいというデメリットがあります。
賃貸住宅の需要に対し、過度に競合物件が建築されると供給過多に陥りやすくなります。
供給過多になると家賃相場が崩れ始める原因となります。
③ 築年数の経過により家賃が下がりやすい
賃貸住宅は、築年数の経過により家賃が下がりやすい点がデメリットです。都市部の貸オフィスや貸店舗では、築年数が古くてもほとんど家賃が下がらないといった現象が見られます。
貸オフィスや貸店舗の借手は新築へのこだわりが強くなく、築年数よりも立地を優先することから価値が下がりにくい傾向があります。それに対して、賃貸住宅は借手の新築へのこだわりが強く、築年数が古い物件は敬遠される傾向が強いです。
よって、賃貸住宅は築年数の経過に伴い、収益性が落ちやすいと言えます。
賃貸住宅経営をしたときの相続税の節税効果
賃貸物件は一般的に相続税評価額が時価よりも低いため、相続税の節税効果があります。用途が住宅だから下がるわけではなく、オフィスビルや店舗であっても、賃貸物件であれば相続税評価額は下がります。
例えば都内の物件などは、時価が1億円の物件でも相続税評価額が3,000~4,000万円程度となる可能性もあります。
本来1億円の価値があるにもかかわらず、3,000~4,000万円の資産を持っているものとして相続税を計算してくれるわけですから、相続税の節税となるのです。
ちなみに生前に賃貸物件を売却してしまえば、現金が1億円入ってくることになり、1億円をもとに相続税が計算され、相続税が高くなってしまいます。
賃貸物件の相続税評価額の計算方法は以下の通りです。
土地の評価額の計算式
- 貸家建付地評価額
= 自用地(※)としての価額 ×(1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
建物の評価額の計算式
- 賃貸建物の評価額
= 建物の固定資産税評価額 ×(1 - 借家権割合 × 賃貸割合)
※誰かに貸していたりしていない、自分で使っている土地のこと。
土地に借家権などの他者の権利が付いていると相続税が軽減されるため、他人が使用する権利がない土地として計算します。
賃貸住宅経営の法人化
最後に、賃貸住宅経営の法人化について解説します。
① 法人化とは
賃貸住宅経営の法人化とは、法人(会社)を設立して、その法人にアパート等の賃貸住宅を保有させる経営形態のことです。法人が賃貸住宅の貸主となり、家賃収入も法人が受け取ります。
土地オーナー様は法人の役員となり、役員報酬を受けるというのが、一般的な法人化による賃貸住宅経営です。
個人の所得税と法人の法人税では税率に違いがあり、所得税率と法人税率が逆転する所得金額900万円が、法人化を検討するひとつの目安となっており、所得税よりも法人税の方が低くなれば、法人化のメリットが生じます。なお、個人の相続税対策が必要な場合、土地オーナー様自らの名義で賃貸住宅経営を行うのが基本です。所得税の節税のことだけを考え、法人名義で賃貸住宅経営を行った結果、より負担の重い相続税への対策をすることが難しくなったということがないよう、注意が必要です。
ただ、土地オーナー様のご年齢や保有資産、ご家族構成などにより、法人化を用いた相続税対策が有効になることも考えられますので、詳しくは土地活用の専門家に相談をすることをおすすめします。
② 法人化のメリット
賃貸住宅を法人化する主なメリットには以下のようなものがあります。
≪ 賃貸経営を法人化するメリット ≫
- ・一定の所得を超える場合、保有期間中の税率が低い
- ・株式によって相続財産の分割対策ができる
- ・所得の移転によって相続税の納税対策ができる
【一定の所得を超える場合、保有期間中の税率が低い】
個人の所得は、所得が高いほど税率も高くなる累進課税が適用されています。個人の税率と法人の税率は、個人の所得が900万円超になると逆転していきます。
税率が逆転している人であれば、法人化した方が節税できます。
【株式によって相続財産の分割対策ができる】
賃貸住宅経営を法人化すると、賃貸住宅の所有権者は法人となるため、相続財産は不動産ではなく法人の株式になります。
相続人が複数人いる場合、建物などの不動産を平等に分けるのが難しいケースもあります。法人化によって遺産を「建物」から「建物を持っている会社の株式」という形に変えておけば、相続人が複数人いても、平等に分けることができます。
【株式によって相続財産の分割対策ができる】
賃貸住宅経営を法人化して、子を法人の役員にすることで、生前から子に所得を移転しやすくなります。法人が得た家賃収入を、役員報酬という形で子に移転できるため、贈与税の課税対象にはなりません (ただし、子に所得税は発生します)。
生前に子へ所得を移転することで、子が相続税の納税資金を貯めておくことができます。子に大きな相続税が発生しても、先にストックしておいたお金から払えば良いので、納税対策になるのです。
③ 法人化のデメリット
法人化の主なデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
≪ 賃貸経営を法人化するデメリット ≫
- ・法人の設立コストがかかる
- ・法人の維持費がかかる
- ・賃貸物件を売却する際の税率が個人の場合よりも高い
【法人の設立コストがかかる】
法人は、設立する時点でコストがかかります。例えば株式会社を設立する場合、少なくても20万円程度の設立費用が発生します。
【法人の維持費がかかる】
法人の場合、たとえ赤字経営であったとしても、年間7万円の法人税(法人住民税均等割)また、税理士に支払う顧問料としても月2~3万円がかかります(賃貸住宅経営の規模により異なる)。
【賃貸物件を売却する際の税率が個人の場合よりも高い】
法人の所得にかかる税金は、法人税のみです。そのため、家賃収入にも物件売却益にも法人税が課税されます。
これに対し個人の場合、不動産の売却益には譲渡税が課税されるのですが、5年を超えて所有している不動産を売却した場合の譲渡税率はおよそ20%と低く、法人税の実効税率の方が税率は高くなります。
賃貸住宅経営を法人化し、家賃収入にかかる税金は抑えることができても、売却時の税率は法人の方が高くなる点には注意が必要です。
まとめ
賃貸住宅経営について解説してきました。
賃貸住宅経営には「アパート経営」や「賃貸マンション経営」、「戸建て賃貸経営」などがあります。
賃貸住宅経営のメリットは、「賃貸需要が安定している」ことや「幅広いエリアに賃貸需要が存在する」ことなどです。
それに対しデメリットとしては、「事業系の土地活用より家賃単価が安い」ことや、「競合物件が発生しやすい」等があります。
また、賃貸住宅経営は、法人化して行うこともできます。ただし法人化を検討する際には、所得税や相続税などの税制や、相続時の遺産分割方法などを総合的に考え、適切な方法で賃貸住宅経営を始めることがポイントです。
そして、最適な方法で賃貸住宅経営を始めるためには、専門知識による裏付けを取ることがとても重要です。
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