”まるっと早わかり” 注文住宅って実際いくらかかるの?
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”まるっと早わかり” 注文住宅って実際いくらかかるの?

土地ありで家を建てる費用相場
注文住宅の費用相場は年々上がっており、土地ありで家を建てる費用も上昇傾向です。2022年度フラット35利用者調査をもとに、注文住宅にかかる所要資金を全国平均とエリア別に見ていきましょう。
ちなみに所要資金とは、予定建設費と土地取得費を合計した金額を指します。土地ありで家を建てる場合は土地取得費はかからないため、所要資金のほとんどは予定建設費が占めていることになります。
全国平均
2022年度フラット35利用者調査によれば、土地ありで注文住宅を建てる場合、所要資金は全国平均で3,717万円です。年々上昇傾向が続いており、前年度と比べると145万円上昇しています。
融資金の全国平均は前年度より93万円高い2,967万円で、所要資金と同じく上昇傾向です。このデータから、3,717万円(所要資金全国平均)-2,967万円(融資金全国平均)=750万円程度は融資金以外の手持ち金などから負担していることがわかります。
エリア別
注文住宅を建てる場合、エリアによって所要資金が異なります。2022年度フラット35利用者調査をもとに、東京都・大阪府の所要資金をまとめました。
都道府県 | 所要資金 |
---|---|
東京都 | 4,352万円 |
大阪府 | 4,125万円 |
引用:2022年度フラット35利用者調査 2022年度集計表 注文住宅
※小数点以下は四捨五入
東京都と大阪府では、所要資金の全国平均3,717万円を上回っています。
東京都と大阪府の所要資金が高いのは、都市部の旺盛な建設需要によって職人が不足しやすいことが一因です。職人を確保するために人件費が高騰するため、結果として建設費も上がります。さらに同じエリアであっても、地盤が緩い土地は地盤改良や杭打ちの費用が跳ね上がるため注意しなければなりません。
土地なしで家を建てる費用との比較
土地なしで家を建てる場合は、土地取得費がかかるため所要資金は高くなります。土地ありで家を建てる費用と土地なしで家を建てる費用を、2022年度フラット35利用者調査の所要資金のデータをもとに比較しました。
土地なしで家を建てる費用 (土地付注文住宅の所要資金) | 土地ありで家を建てる費用 (注文住宅の所要資金) |
---|---|
4,694万円 | 3,717万円 |
土地なしで家を建てる費用は、土地ありで家を建てる費用と比べて、4,694万円-3,717万円=977万円高いです。
土地なしで家を建てる場合は土地取得費の影響を大きく受けるため、エリアごとの土地取得費の違いを考慮することが必要です。東京都・大阪府と四国4県で土地なしで家を建てた場合の土地取得費を比較しました。
都道府県 | 土地取得費 |
---|---|
東京都 | 3,663万円 |
大阪府 | 2,052万円 |
引用:2022年度フラット35利用者調査 2022年度集計表 注文住宅
※小数点以下は四捨五入、差は元データより算出
東京都や大阪府の土地取得費は2,000万円〜3,700万円と高額です。
土地ありで家を建てる費用内訳
土地ありで家を建てる費用の内訳は、以下のとおりです。
- ・本体工事費
- ・別途工事費
- ・諸経費
それぞれの費用にどのような項目が含まれるのか解説します。
本体工事費
本体工事費とは家の本体をつくるための費用で、全体の70〜80%程度を占めています。具体的な項目は以下のとおりです。
- ・基礎工事
- ・土台工事
- ・内装工事
- ・外装工事
- ・屋根工事
- ・設備設置工事
本体工事費は以下の4回のタイミングに分けて支払うことが多いです。
工事請負契約締結時 | 着手金10% |
---|---|
着工時 | 着工金30% |
上棟時 | 中間金30% |
引き渡し時 | 残代金30% |
支払いのタイミングや割合は施工会社によって異なりますが、大半は引き渡しの前に支払わなければならない点に注意しましょう。
別途工事費
別途工事費は家の本体以外にかかる工事費で、施工会社によっては本体工事費に別途工事費が含まれている場合があります。別途工事費が占める割合は全体の15〜20%程度です。具体的には以下のような項目が含まれます。
- ・土地の整備費用
- ・外構工事(駐車場や庭など)
- ・電気配線工事
- ・排水工事
土地によって非常に高額になるのが、土地の整備費用です。土地の整備費用には地盤改良や整地、盛り土などの宅地造成工事が含まれます。地盤改良は地盤が緩い土地で家の耐震性を確保するために欠かせません。また斜面にある土地や低い土地に家を建てる場合は整地や盛り土で土地を整えてから、建築を進める必要があります。
土地の整備費用は土地の状態によって大きく変動するため、事前にどのくらいの費用がかかるのか見積もりを取っておいたほうが良いです。場合によっては多額の費用がかかる可能性があります。
諸経費
家を建てる際は本体工事費や別途工事費の他に、諸経費がかかります。全体の15〜20%程度を占めています。諸経費の内訳は以下のとおりです。
- ・設計料
- ・不動産取得税
- ・登録免許税
- ・司法書士報酬
- ・住宅ローン手数料
- ・火災保険料
- ・引っ越し費用
- ・仮住まい費用
新しく家具や家電を買いそろえる場合は、家具・家電購入費用も含めておきましょう。
親から土地の贈与を受ける際の制度
親から譲り受けた土地に家を建てる場合は生前贈与にあたり、贈与税がかかります。生前贈与とは所有者が亡くなる前に財産を無償で譲り渡すことです。
生前贈与を受けると、暦年課税制度や相続時精算課税制度等のいずれかによって贈与税が計算されます。それぞれの制度の特徴を見ていきましょう。
暦年課税制度
暦年課税制度とは、1年間に受けた贈与財産に応じて贈与税が課税される制度です。暦年課税制度には非課税枠(基礎控除額)があり、年間110万円までの贈与であれば贈与税がかかりません。非課税枠を超えると、超えた分に贈与税が課される仕組みです。
暦年課税制度が適用される場合、まとまった財産を1回で贈与するよりも、数年に分けて持ち分を少しずつ贈与したほうが贈与税を節税できます。例えば1,000万円の土地を1回で贈与した場合と10回で贈与した場合の贈与税額を計算してみましょう。
1,000万円の土地を1回で贈与した場合の贈与税を計算します。一般贈与財産の税率と控除額を適用し110万円の非課税枠を反映させると、計算式は以下のとおりです。
(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円
続いて1,000万円の土地を10回に分けて贈与した場合の贈与税ですが、年間の贈与財産は1,000万円÷10年間=100万円となります。非課税枠110万円を下回るため、贈与税はかかりません。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは贈与でかかるはずの贈与税を、相続のときまで先延ばしにする制度です。もともとは贈与者1人につき2,500万円までの特別控除枠がありましたが、2023年度税制改正によって新たに110万円の基礎控除枠も加わりました。
相続時精算課税を選択した場合、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されます。基礎控除額110万円には贈与税も相続税も課税されません。基礎控除後の残額のうち2,500万円までは贈与時に課税されず、相続税の課税対象となります。2,500万円を超える部分には一律税率20%贈与税がかかる仕組みです。
例えば相続時精算課税を選択し贈与財産が3,000万円のケースを考えてみましょう。まず3,000万円から基礎控除額110万円を控除します。
3,000万円(贈与財産)-110万円(基礎控除額)=2,890万円(基礎控除後の課税価格)
次に基礎控除後の課税価格2,890万円のうち、2,500万円を超える390万円の部分に20%の税率を掛けて、贈与税を算出しましょう。
2,890万円(基礎控除後の課税価格)-2,500万円(特別控除額)=390万円(贈与税の課税価格)
390万円(贈与税の課税価格)×20%(税率)=78万円(贈与税)
特別控除額の2,500万円は贈与税の課税対象にはならないものの、相続時に相続税が課税されます。
相続税は贈与時点での価格で計算されるため、贈与から相続までに価値上昇が予想される土地や、借地料など毎月収入が発生する土地などは相続時精算課税制度を選択するメリットがあります。
ただし、一度相続時精算課税制度を選択すると、途中で暦年課税制度に変更できません。暦年課税制度と相続時精算課税制度のどちらのメリットが大きいか、しっかりと検証したうえで選択しましょう。
家を建てる際に注意すべき地目と対応方法
土地は用途によって地目が決まっています。地目によってはすぐに家を建てられない場合があるため注意が必要です。ここからは家を建てる際に注意すべき地目とその対応方法を解説します。
地目とは
地目とは土地の用途のことで、土地の登記事項証明書に記載される情報の一つです。宅地の他、田、畑など全部で23種類あります。
所有している土地の地目を確認したい場合は、登記事項証明書を見ればわかります。ただし登記事項証明書に記載されているのは、あくまで登記された時点での地目です。現況とは異なる場合があるため注意しましょう。
地目によって家の建築可否が決まることはありません。しかし不動産登記法により、土地の用途が変わった場合、所有者は1ヵ月以内に地目変更登記をしなければならないと定められています。もし宅地以外の土地に家を建てた場合は、地目変更登記の手続きが必要です。
土地ありで家を建てる流れ
土地ありで家を建てる際の流れは、以下のとおりです。
- ・予算を立てる
- ・希望条件を決める
- ・施工会社を選ぶ
- ・家のプランを打ち合わせる
- ・工事請負契約を結ぶ
- ・家が着工する
- ・家の引き渡しを受ける
予算を立てる
家を建てる際は予算オーバーに陥りやすいため、最初に予算を立てることが大切です。予算は住宅ローンの借入可能額と自己資金をもとに決めます。
住宅ローンの借入可能額は年収や家計とのバランスを考えて、無理のない範囲で設定しましょう。自己資金は預貯金をすべて費やすのではなく、家を建てる諸費用や予備費を差し引いて算出します。
余裕をもった予算を立てておくことで、途中で住宅ローンの返済が厳しくなったり、家計が苦しくなったりするリスクを防げるでしょう。設定した予算に応じて、家の規模やデザイン、設備などが絞られます。
希望条件を決める
予算が決まったら、次は希望条件を書き出します。家族全員でアイディアを出し、家のイメージを具体化させましょう。希望条件の例を挙げると、以下のとおりです。
- ・地震に強い家
- ・全館空調
- ・子どもが遊べる広い庭
- ・作業スペースとして活用できるビルトインガレージ
ただし予算には限りがあるため、希望条件をすべて実現するのは難しいです。書き出した希望条件には、必ず優先順位をつけておきます。後々予算が合わなくなったときに、優先順位の低いものから取捨選択できます。
施工会社を選ぶ
家づくりを成功させるためには、信頼できる施工会社を選ぶことが不可欠です。施工会社の実績を確認し、自分たちの理想に近い家を建てられるかどうか見極めましょう。もちろん価格帯が予算に合っているかどうか確認することも大切です。
施工会社の担当者とは密に連絡を取り合うことになるため、コミュニケーション能力や人柄も重要な決め手になります。例えば質問に対してのレスポンスが早く、悩みに対して親身に対応してくれる担当者であれば、安心して任せられます。
家のプランを打ち合わせる
選んだ施工会社と家のプランを打ち合わせていきます。施工会社から提案を受けたら、予算と希望条件を満たしているか確認してください。予算をオーバーしている場合は、優先順位が低い希望条件を削れないか検討します。
そもそも土地の立地条件や法令上の制限によって、希望条件が実現できないケースも少なくありません。打ち合わせの際は施工会社の担当者と一緒に、希望条件ごとの実現可否を確認しましょう。打ち合わせを重ねるごとに、プランの精度を高めていきます。
工事請負契約を結ぶ
プランや見積もりが確定したら、施工会社と工事請負契約を結びます。工事請負契約を結ぶ前に、契約内容をよく確認しましょう。追加工事や変更の対応がどうなっているか、保証やアフターサポートが充実しているかは、特に重要なポイントです。
また住宅ローンを利用する場合は、工事請負契約を結んだ直後に金融機関の本審査を受けます。本審査を受ける際は、工事請負契約など必要書類を金融機関に提出します。審査に通過したら、金融機関と住宅ローン契約を結ぶ流れです。
家が着工する
住宅ローン契約を締結したら、いよいよ着工です。着工してからの工程管理は施工会社に任せることになりますが、進捗状況は逐一確認しましょう。工事期間中は引き渡し時の必要書類を準備しておくとスムーズです。
地鎮祭や上棟式をおこなう場合もあります。スケジュールや段取りなど詳細に関しては、事前に施工会社と打ち合わせておきましょう。
家の引き渡しを受ける
家が完成したら市町村の完了検査を受け、施主と施工会社の竣工検査がおこなわれます。すべての検査が終わったあとに家の引き渡しを受ける流れです。
引き渡し日には融資実行、残代金の支払い、登記手続きもおこなわれます。竣工検査で指摘した箇所がある場合は、引き渡し日までにきちんと補修されているかどうか確認しておきましょう。
相続した土地に家を建てる場合の注意点
相続した土地に家を建てる場合は、通常とは異なる以下の注意点があります。
- ・相続登記しないと家を建てられない
- ・相続税がかかる
相続登記しないと家を建てられない
親から相続した土地に家を建てる場合は、親(被相続人)から自分(相続人)の名義に変更する相続登記が必要です。相続登記をしていない土地は被相続人の名義になっているため、抵当権の設定登記ができず、土地を担保にして住宅ローンを借りることができません。つまり、家を建てることができなくなります。
相続登記をおこなう場合は法定相続人全員の合意が必要です。相続財産を確認したり遺産分割協議で誰が何を相続するのか決めたり、さまざまな手続きが発生します。また相続登記には登録免許税や司法書士報酬などがかかります。
相続税がかかる
土地を相続したら相続税がかかる点にも注意しましょう。あらかじめ相続税を費用に組み込んでおく必要があります。
相続税には基礎控除があり、誰でも利用できます。基礎控除の計算方法は以下のとおりです。
他にも配偶者控除や未成年者控除などの制度があるため、相続税の負担を少しでも減らすために確認しておくことをおすすめします。
相続税を抑えられる小規模宅地等の特例という制度もあります。小規模宅地等の特例とは、一定の条件を満たした場合に土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
まとめ
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