”今からできる” 災害と向き合う「不動産情報ライブラリ」とは? 

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”今からできる” 災害と向き合う「不動産情報ライブラリ」とは? 

  1. このブログ記事の趣旨
  2. 地震、台風、洪水などの自然災害及び火災などのリスクについて、自然災害リスクとして不動産価値の目減りは大きな損失を生む事になります。この自然災害リスク、自分自身では発生してしまってはどうにもできず、発生することを未然に防ぐことも不可能です。不動産購入する前や売却を考えている方へ、自然災害が発生してもその被害を最小限に抑えるための予防策としてご参考になさっていただければ嬉しいです。


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こちらのブログ記事をご覧ください。
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災害により不動産価値は変化した?

近年、災害リスク情報は住まいを決める際の重要な判断材料となっています。

地震や洪水などの災害リスクが高い地域では、その情報が家の価格や購入の決断に大きく影響しています。

例えば、過去に河川洪水による浸水被害を受けた地域では、不動産価格が以前の価格に戻らないケースがあります。以下のデータは令和元年東日本台風において河川が氾濫し浸水被害を受けたいわき市平窪および長野市豊野の公示地価の推移をご覧ください。

見ていただくと、市全体の住宅地平均価格(円/m2)は上昇傾向にあるものの、浸水被害を受けた地点では、2020年1月1日で大きく減少し、その後は戻っていないことが分かります。このことは、いわき市や長野市に限らず、ここ近年、浸水被害を受けている地域で見られる傾向となっています。

住宅地公示地価平均価格および浸水被害地公示地価の推移(公示地価の対象都市はいわき市及び長野市。出典:公示地価)住宅地公示地価平均価格および浸水被害地公示地価の推移(公示地価の対象都市はいわき市及び長野市。出典:公示地価)

重要事項説明だけでは説明不足?


洪水に限らず、日本は土砂災害や地震、津波、火山などの多くの災害リスクを抱えている現状です。一方で見方を変えれば、災害リスクを知ることで生命や財産を守ることにつながります。

災害リスクを知る情報として、土地や建物の売買や賃借などの取引を行う前に仲介を行う不動産取引事業者から交付および説明を受ける「重要事項説明制度」があります。説明の中では必ず災害リスク情報が明示され、「土砂災害警戒区域」や「急傾斜地崩壊危険区域」、「洪水浸水想定区域」など10種類以上に及びます。

しかし、この重要事項説明は、契約をするか否かを判断するための説明というよりは契約にあたって“知っておいて下さい”という程度の情報価値に過ぎません。土地や住宅を決める際、重要事項説明を受ける時点ではすでに契約を決めているというのが一般的といえます。

災害リスク情報は契約するか否かの重要な判断材料の一つとして、土地や住宅であれば候補を探す段階で知っておいた方が将来的な損を回避できる情報だと考えています。
例えば、あたり前かもしれませんが、気に入った住宅や土地であっても、水害の発生頻度や被害の程度が大きいと予測されるようであれば、利用用途や利用期間など様々な条件と照らして将来的に事業や居住を継続できない状況に陥る可能性があります。

とはいえ、日本の多くの都市は河川流域沿いに発展してきた経緯や、国土面積の約7割が森林である状況を踏まえると100%自然災害を避けるのは難しいという見方もあり、頻発化している災害に対して、「どこまでの被害を許容するのか」が重要になると考えられています。

「不動産情報ライブラリ」において確認できる災害リスク情報



災害リスク情報は、住まいを探す上で最低限の災害リスクを知ることができます。

ライブラリに掲載されている災害リスク情報のうち、不動産取引において説明義務があるのは、「津波浸水想定」と「大規模盛土造成地マップ」を除く情報となります。現時点でライブラリにて確認することができない災害リスク情報は次項で説明する「重ねるハザードマップ」で確認することができます。

  1. 「重ねるハザードマップ」
    https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/maps/index.html?ll=35.371135,138.735352&z=5&base=pale&vs=c1j0l0u0t0h0z0

    ハザードマップポータルサイト
    https://disaportal.gsi.go.jp/

「重ねるハザードマップ」において確認できる災害リスク情報


重ねるハザードマップは、ライブラリと同じく国が運用しています。不動産情報ライブラリと異なるポイントは、災害リスク情報をより詳細に調べられるところにあります。例えば、各地方自治体が公表しているハザードマップに掲載されている洪水浸水想定区域。発生確率が低く被害想定が大きい想定最大規模が記載されています。

しかし、発生確率が高く被害想定が小・中程度の計画規模降雨は掲載されていない場合があることはあまり知られていません。

水防法が2015年に改正され、これ以降、各河川管理者は、想定最大規模降雨の浸水想定の策定を進めています。また、水防法の規定により市町村が作成するハザードマップにはこの1000年確率による洪水浸水想定区域が掲載されるようになっています。

想定最大規模の降雨がハザードマップに記載されていることで、積極的な避難行動を促すという意味では効果は大きいと考えられますが、住宅といった比較的、短期間の運用が行われる土地利用の場合には、発生頻度が高い水害予想でどの程度の浸水被害が生じるのかに重点を置いた方が経済的に合理的なケースもあるのも事実
です。

その点「重ねるハザードマップ」であれば、ライブラリには掲載されていない30~100年確率の計画規模降雨を閲覧することができます。加えて、重ねるハザードマップでは、ライブラリには掲載されていない次のような情報も閲覧することができるため、より解像度を高く災害リスクの程度を評価できます。

【重ねるハザードマップで閲覧可能な災害リスク(不動産情報ライブラリにて閲覧できる情報を除く)】
  1. ①洪水浸水想定区域(計画規模)
    ②洪水浸水継続時間(想定最大規模)→河川洪水にて発生するもの
    ③家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流、河岸浸食)→河川洪水にて発生するもの
    ④雪崩危険箇所
    ⑤内水浸水想定区域 →下水や河川へ雨水を排水処理できないために発生するもの
    ⑥ため池決壊による浸水想定区域
    ⑦液状化危険度分布図
    ⑧道路冠水想定箇所 など

一方で、重ねるハザードマップでは不動産取引において必ず説明を受ける「急傾斜地崩壊危険区域」や「地すべり防止区域」といった土砂災害の危険性のあるエリアの一部を閲覧することができないというデメリットがあります。

「不動産情報ライブラリ」と「重ねるハザードマップ」の使いわけの方法


不動産情報ライブラリでは、災害リスク情報以外の地価公示や周辺施設情報、将来人口、都市計画情報などを複数重ねて表示することができるなど、住まい探しの際の支援ツールとしての内容が充実しています。

その中でも災害リスク情報は住まい探しにおいて最低限理解しておいた方がよい情報が掲載されています。災害リスクとそれ以外の情報と重ねることに大きな価値があります。

一方で、重ねるハザードマップでは、ライブラリで表示された災害リスク情報をより詳細に調べるために使うといった方法や、ライブラリでは表示されない異なる災害リスク情報の把握、過去の災害による被害状況、自然災害伝承碑の有無などをチェックする際に活用することができます。

特に、過去の災害や自然災害伝承碑などを閲覧できるのは過去の災害の歴史を知るうえで貴重な情報源となるはずです。

ライブラリで最低限度の災害リスク情報を把握し、もう少し詳細に災害リスク情報を理解したい場合や過去の災害の有無などを知る場合に活用できるのが重ねるハザードマップといえます。上手に使い分けることでそれぞれのサイトのメリットを享受できます。なお、より詳細な災害リスク分析を踏まえて土地利用のあり方を知りたい方は建築士や宅建士へ相談することをおすすめいたします。

自分でも情報収集が大切


これまでご説明した通り、災害リスク情報は、安全な家を探すときに欠かせない情報です。

また、災害リスク情報は、発生頻度、被害の大小や範囲、建物の構造や規模、用途、賃貸なのか持ち家なのかに応じて活用方法が異なる点に留意が必要となります。

自分自身がどの程度の災害を許容できるのかによって不動産取引時の災害リスクに対する見方が変わるため、一概に災害リスクがあるからと言ってすべてを避けるのは適切ではない場合があります。購入の判断で悩む場合には、宅建士などの専門家へ相談するのが望ましいです。


災害リスクの中で特に生命に危険が及ぶエリアとして認識されているのは「災害レッドゾーン」です。

この他にも雨水出水想定区域(内水ハザードエリア)や高潮浸水想定区域(沿岸部)、日本全土で発生する可能性が高い地震リスクも存在するが、発生頻度や命への危険性を考慮すると「災害レッドゾーン」での居住が適切とはいえないケースが多いです。

災害レッドゾーンとは、「災害危険区域(洪水・高潮など)、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、津波災害特別警戒区域、浸水被害防止区域」をいう。

近年、災害ハザードエリアでの住宅建築行為に対しては、フラット35sの適用除外や法令等による構造や立地の制限などにより建築が制限されるようになってきています。また、都市計画的には、これら地域については、市街地において居住を誘導する区域には含めない旨の国の指針が定められているなど、国民の生命や財産を守るための枠組みができつつあります。

なお、イエロゾーンの一つである「土砂災害警戒区域」であれば建築上の構造制限がないため問題ないと考えている方もいますが、近年の土砂災害における被害状況を見ると警戒区域であっても大きな被害を受けていることがあるため、居住が適切とはいえない場合があります。

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まとめ


最後に、河川洪水による浸水地域については、改修の予定の有無や、河川流域ごとに行われる総合的な治水対策(流域治水という。)を踏まえて判断なさってください。

少なくとも不動産情報ライブラリで災害リスク情報に該当する土地の場合には、どのようなリスクでどのような対策が必要となるのか不動産取引事業者へ相談することをおすすめいたします。


不動産の取引には非常に複雑な知識や経験が必要になります。いい不動産会社と出会うことができれば、面倒な手続きも代行してくれて適切なアドバイスをしてくれます。
また、思い入れのある土地や、資産性のある土地なら手放さずに活用するという選択肢もあります。

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